ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア展 Bunkamura ザ・ミュージアム

 おとといは、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにルーベンスの展覧会を観に行っていました。
 こちらは、友人のAちゃんがチケットをくださっていたのですが、去年観たエルミタージュ展にあったルーベンスの作品があまりよいと思えるものではなかったため、気に入らなかったらどうしよう……、と思っていたものでありました。
 その心配は杞憂でありました。
 
 ルーベンスは16世紀後半から活躍した、今のベルギーやオランダにあったネーデルランド出身の画家で、その時代のフランドル地方の画家らしく、まじめな絵を描く人なんだなと分かりました。

 前に観たものが、ぱっと見、父と娘の性的な関係にも思えるような絵だったので(「ローマの慈愛(キモンとペロ)」)、気持ち的に拒絶反応があったのですが、この展覧会では入ってすぐにルーベンスが自分で描いたと思われる肖像画が多くかかっており、それらがとてもきちんとしたまじめなものだったのです。
 それで安心して先を観ることができました。
 
 ルーベンスは人物画で定評があるそうです。

 イタリアで修行して名声を高めた後は工房制作をするのですが、そうなると弟子が描く部分が増え、絵の質が落ちることもあったそうです。
 エルミタージュの展覧会で観た絵は、そういうものだったのかもしれません。大きなものだったし、描き込みも多かったので一人で描いたものではないのかもしれません。
 ルーベンスはそういう大作で工房制作のときにも、人物の顔だけは自分で描いたことがあったそうです。
 その「「ローマの慈愛(キモンとペロ)」では、娘の乳房に口を寄せる父親の表情が忘れられないので、そういう意味ではよく描けている作品、ということなのかもしれません。でも、そういうので印象に残すっていうのもなんだかちょっと抵抗があります。

 その印象が強かったのですが、ルーベンスの名前だけが出ている展示の絵はみなきれいだなあと思えるもので、心が洗われるような感じになりました。

 「眠る二人の子どもたち」↓
  1303rubens2.jpg
 左側の子どもの頭の角度などは、ルーベンス工房の絵に繰り返し出てくるもので、得意なモチーフだったようです。弟子や若手の画家のお手本のためのサンプル銅版画もあり、その中にこの子どもの頭部が入っていました。
 そうやって自分の技術を模倣させようとしていたというのが分かって、工房制作というものがどういうものか垣間見えたような気がして勉強になりました。
 でも、弟子たちは自分の個性を発揮しづらくなりそうでどうなんだろう、と思っていたのですが、当時は「親方」になる実力ができてからも、工房を渡り歩くような人もいたそうです。
 ルーベンスの弟子ではアントーン・ヴァン・ダイクという人が、ルーベンスとはまた違う個性の絵を描くようになったようです。成功例、ということでしょうか。この方は名前だけ聞いたことがあったのですが、そういうことだったのか、と、これまた勉強になりました。

 展示の最後のコーナーでは、背景画や植物画の専門家たちとの合作の展示もありました。
 人物はルーベンス(工房)、背景は別の画家、などと分業で絵を描くこともあったそうです(植物画のヤン・ブリューゲルとも一緒にやっていた)。
 だから、画面に統一感がなかったりするようですが、それもまた「味」ということになったそうです。
 でもわたしはあまりそういうことまでは分からないので、シンプルにルーベンス本人が全部を描いたと思える肖像画などが観ていて心地よかったです。
 
 「復活のキリスト」↓
  1303rubens1.jpg
 日本初公開で大きな絵でしたが、これはほぼ本人が描いたという感じかなと思いました。
 十字架の上で磔になって死んだ三日後に復活したキリストを描いたものですが、ちょっと目の辺りがポヤーっとしているように見える表情が、目が覚めたばかりという感じがあって、うまいなあ、と思ってしまいました。
 
 この他に、ギリシャ神話のモチーフの小さい絵なども、わたしが好きな感じでした。
 物語のワンシーンを絵にしているから、ちょっと漫画っぽいような部分もあるかと思いましたが、小さい絵なので絵本を観ているような感覚で和めたのです。

 普通によい絵がたくさんあって、なんとなく気持ちが穏やかになりました。
 個人的なことをいろいろ考えていたときだったので、ちょうどよかったかと思います。
 
 会期は4月21日までです。
 展覧会サイトは→ こちら
  
 

 
 
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コメント

No title

こんにちは。
私もルーベンス(栄光のアントワープ工房と原典のイタリア)展に行ってきました。
作品展で観た作品を思い出しながら、ブログを読ませていただきました。
今回の作品展で私は、「聖母子と聖エリザベツと幼い洗礼者ヨハネ」と
「復活のキリスト」が何か作品に温かみがあり、好きになりました。

私も今回展示されていた代表的作品を通して、ルーベンス美術の魅力を私なりにまとめてみました。
よろしかったら、ぜひ一読してみてください。ご感想、ご意見などどんなことでも結構ですから、ブログにコメントなどをいただけるとうれしいです。

Re: No title

dezire様、コメントいただきましてありがとうございます。

ブログ拝読、拝見いたしました。
内容、とても参考になりました。

ありがとうございました。

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