ヴェルナー・ヘルツォーク監督「アギーレ 神の怒り」とコンラッド「闇の奥」元ネタ映画たちから考えたこと

 ここのところ毎日映画を観ています。
 北家映画祭絶賛開催中!
 夫が、次から次へとレンタル店で映画を借りてくるのです。
 オリバー・ストーンで火がついてしまいました。
 これも一種のオーバーヒートです。恥ずかしい話、夫もそういう人間です。本質的に何かが過剰で(笑)、ついついオーバーヒートする(だからケンカになると大変)。
 いつまで続くんだ。。。

 どれもすごく考えさせられる映画で、感想を書きたいのですが、追いつきません。
 だって最低限、その映画や背景について調べますよね。ネットという便利なものがあるのですから。それで新たに考えさせられるし、それで、それをどこまで盛り込むかも考えるし、ブログっつったって簡単に書いているわけではないのです。こういうのは、一応一時期ライターをやっていたので、意地があるのです、わたし。
 加えて家事もしてるんです。買い物行って洗濯してアイロンがけなんかしたらもう時間けっこう取られますから。
 (世の外で働いている奥様たちは、どうやって時間をやりくりしているんだろうと不思議に思ってしまう)
 あと、夫との止め処のないおしゃべり。これもすごく時間を使う(夫が帰宅したら最後)。だからなんだか毎日妙に忙しく感じるのです。

 と、だらだら書いている間に映画のことを書けよという気もするのですが、こういうだらだらもないと生きていけないんだ。

 ***

 でもきっといつか収まるであろう北家映画祭、集中できるうちに観ておけと思っています。
 
 今やはり株価が大変みたいなので(でも5月って「セルインメイ」と言われていて海外では利益確定のために株を売るそうですね、その連動なのかなって感じもあるのかと、いえ、これは2ちゃんねるで仕入れた情報にすぎないのですが)、オリバー・ストーン監督の「ウォール街」と「ウォールストリート」について感想を書こうと思っていたのですが、ちょっと夫の趣味につきあったら、それはそれですごかったのでそちらについて書きたいのです。

 観たのはヴェルナー・ヘルツォークというドイツ人監督の「アギーレ 神の怒り」という映画です。1972年の作品。
 夫もわたしも初めてのヘルツォーク映画。まああまり好きではないと分かったけれど。
 でも、この映画はタイム紙の選ぶオールタイムベスト100でランクインしていたそうです。
 アマゾンの密林の中でロケをした労作ではあるのですが。。。
 

 この映画は、フランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録(1979年)」の元ネタにもなっている、イギリス人小説家ジョセフ・コンラッドの「闇の奥(1902年)」を舞台を南米に変えてモチーフにした映画です。上に貼ったYouTubeの予告編ではそのへんについては語られていませんが。
 夫は少し前にコンラッドに凝っていて、それで興味を持って観ようということになったのです。夫がコンラッドに興味を持ったのは、コンラッドが元船乗りの小説家という「変わり種」で、文学だけに関わってきた「専門家」ではない人が持つ広がりのある文章、世界観に惹かれたためです。わたしは未読です。

 コンラッドの作品内では舞台はイギリス人によるアフリカでの象牙貿易になっているそうですが、三作品とも「先進国」の人間が「未開の地」に入っていって、現地人を奴隷にして自分だけの王国を創る、あるいは創ることを夢見る、というテーマが共通です。「アギーレ 神の怒り」では1500年代のスペイン人によるアマゾン探検、「地獄の黙示録」は、ベトナム戦争のアメリカ兵士と東南アジアのジャングルが舞台になっています。
 
 ***

 この「アギーレ 神の怒り」に関して言えば、アマゾンで撮影された苦労はすごいと思いますが、いろいろ調べると出演者やスタッフがみな疲労で精神的におかしくなっていたそうで、主演のクラウス・キンスキー(ナスターシャ・キンスキーの父親)は役と自分を混同したためか横暴になり、本当に発砲事件を起こして誰かの指を吹っ飛ばしてしまったそうです。そういうヤバさが画面からにじみ出ている映画です。
 撮影先の自然環境が過酷すぎて、用意していた脚本なども使えずやっつけで演出しているというのが見え見えで、俳優たちもちゃんと演技をしているようには見えないし、わたしにとっては「カルトムービー」にしか見えないものでありました。

 ちなみに主演のクラウス・キンスキーは、ヘルツォークの作品にばかり出ている俳優で、かなり問題のある人物らしく、自分の娘(ナスターシャではない長女)を何年にもわたってレイプしていたということです。そういう父親の娘だから、ナスターシャは10代でロマン・ポランスキーの愛人をしていたりしたのでしょうか。こういう人物の「狂気」で持っている映画なんて、わたしは認めたくないし、60年代や70年代のタブーを犯せば崇高な芸術が成立する、というような風潮に対しても非常に嫌悪感を感じます。でも、ごく最近まで、自分もそういうことを「よし」としてやっていかないと芸術を理解できない、あるいは創出できないのではないか、と思っていました(本当にイヤになる。そして、今の時代は「やってはいけないこと」はやりつくされ、やるべき立派で美しいことも遠い過去にやりつくされているのです)。

 ***

 ということで、この映画はわたし個人はまったく好きではないし評価もしないのですが(ロケハンの大変さだけは賞賛できるかな、あと、ラストシーンの猿の数はすごかった)、なぜブログに書いているかというと、このような、未開の地を開拓して勝手に王国を創るというテーマのストーリーが、繰り返し映画で描かれている点に、「はて?」と思ったからです。

 「地獄の黙示録」も、ディレクターズカットで観ましたが、物語の基本のそこが、まったく理解(共感)できませんでした。
 
 もちろんこの「アギーレ 神の怒り」も。
 あと、映画としては気に入っているディズニー・ピクサーの「カールじいさんの空飛ぶ家」。
 これも、「地獄の黙示録」と「アギーレ 神の怒り」を彷彿とさせる人物が出てくるのです。こちらは舞台はアマゾンで、犬を奴隷にして「王国」を築いている冒険家が出てきます。
 
 こういうことが、繰り返し描かれているのです。西洋の映画では(ディズニーまでもが!)。
 一応、すべての作品は、それらの権力を求めた人物はそのまま「王国」を維持できずに失敗していくので、無批判ではないのですが。 
 
 権力への強い欲求が人をそこまでさせてしまう、ということなんだろうなあ、と思うのですが、そもそもそこまでしようというということがわたしには理解できないので、はて、となるのですね。
 未開の地で現地人奴隷にして、王国を築くとかって、そんなにしたいと思うことかしら、と思ったとき、これは、やはり白人(大陸人)の発想、欲求なのかな、と思い至ったのです。
 たぶんわたしは日本人だから、国には世襲制の天皇がいて、それが当たり前(という中で育ってきている)だから。
 そこに思い至ったとき、ああ、自分は西洋の権力が本当によく分からないし、外側から見るしかできないのだな、と思ったのでした。
 そんなことは言うまでもなく当たり前なのですが、ああ、もう決定的になにかが違うのだな、と、はっきり思ったのですね。
 人としてなにかが違うのです。
 たぶん、これって多くの日本人に共通なのではないでしょうか。少なくとも夫は同意してくれました。
 それを、情けないとも、思いはしますけれど。もっと貪欲にならないといけないのですかね。

 先日、父の三回忌でご住職から聞いた話ですが、もともとの仏教では、死者の供養は三回忌まででいいとされていたそうです。
 なのに、七回忌、十三回忌とあるのは、日本の土着の信仰の神道が三十三回忌まで悼むことを推奨していたからで、後から日本に入ってきた仏教は、先にあった神道とそういう部分ミックスさせて、信者を獲得していった、と語っておられました。
 「日本人というのは、そうやって生きてきたのですね。殺しあいをするのではなく、折衷していく民族なのです」
 とご住職は語っていました。
 まあ、そういうことかなあ、と思うのですね。
 島国だからでしょうかね。
 領土を広げようにも、海に囲まれているから。基本的に無理があるのかも。
 だから「和」を尊ぶ、になるのでしょうか。

 それを「情けない、腰抜け」とするのか「生きる知恵」と考えるのか。(お寺のお金儲けのための知恵、ということも、まああるだろうけれど)

 ***

 話が長引いて申し訳ないのですが、ここのところ、ネットではスウェーデンで移民が連日暴動を起こしているというニュースが出ていました。写真なども出ているのを見ましたが、イスラム系の住民が増えていて、もうどこの国か分からないくらいの地域がずいぶんあるようです。
 先日観た映画「ソウル・キッチン」でもドイツの移民が主人公でしたが、ヨーロッパは今移民問題が本当に大変らしいですね。
 全然知りませんでした。世界はもう、わたしが知っていた場所ではないのだな、という気さえしています。
 ドイツのメルケル首相も、フランスのサルコジ大統領も、移民政策は失敗だった、と認めているそうです。

 武力などで勝る強者が「未開の地」に入っていって現地人を皆殺しくらいにする(アメリカとか)のと、国力の弱まってきた「先進国」に、途上国の人々を入れるのでは、意味も状況も違うのだと思うのですが、なんかほんとにちょっと大変なんだなと思います。世界。
 日本も移民を入れる方向で動いているのでしたっけ。。。
 うまく行くのかな。
 ご住職の言っていたようにすれば、どうにかできるのかな。
 でも、今ってネットあるし、どうなんだろう、まったく違う人種の人たちと、ほんとに折衷、融和できるのかな。。

 長いブログになってしまいましたが、たまたま観た映画が、現代にもある様々な問題につながっていくので、いろいろと考えさせられるのです。

 
 

 
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