国立西洋美術館 日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展

 昨日は変則スケジュールで仕事が休みになった夫と、上野の国立西洋美術館でやっている「カラヴァッジョ展」に行ってきました。
 風邪は少し残っていますが、もうすぐ会期終了(〜6月12日)なので、その前の平日に行きたかったのでした。
 やっと行けた。。風邪のやろう。。。

 展覧会のサイト → こちら

 国立西洋美術館はル・コルビュジェの建築で、このたび世界文化遺産の登録が通りそうだということで、建物そのものを見に来ている人も見受けられたような?
 あの建物を見て、お庭のロダンを見るだけでもけっこう見応えありますよね。

 直線がかっこいい↓
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 常設展示のエリアのホールのここも好き↓
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 教会みたい?

 いつも撮るロダンの「カレーの市民」のかっこいい人↓
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 昨日もかっこよかった。

 日暮れの「考える人」↓
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 いつも国立西洋美術館に行くと、企画展だけじゃなくて見どころがたくさんあって、ブログをまとめるのが難しいです。
 でも別の記事にするのも大変なので、一つの中に入れてしまいます。

 ***

 カラヴァッジョ展ですが、平日ですがそこそこ混んでいました。
 会期終了まで、日曜日以外は夜8時まで開館することになったそうです。
 わたしたちが帰る頃、仕事帰りっぽい人たちも来はじめたかな、という感じでした。

 カラヴァッジョについては、作品を見るのは初めてでしたが、少し思い入れがありました。
 高校生の頃に見た、デレク・ジャーマン監督の「カラヴァッジョ」という映画が、印象に残っていたからです。
 わたしは若い頃から、実在した歴史上の人物が題材になった映画をちょこちょこ見ていましたが、中でも芸術家を描いたヨーロッパの映画は分からないなりに、わりと頑張って見ていました。
 その中でも、一番心に残って、自分に馴染んだ映画が、このデレク・ジャーマンの「カラヴァッジョ」でした。
 何度か見ました。

 ショーン・ビーンやティルダ・スウィントンが出ていて、見所はある映画だと思います。監督のデレク・ジャーマンはゲイでいらっしゃり、エイズで亡くなられています。この方の他の映画はアーティスティックすぎて、わたしにはあまり分かりませんでした(汗)。でも、この映画はすごく好きでした。
 この映画から、カラヴァッジョには同性愛の傾向があったけれど、女性の恋人もいたことであるとか、暴力事件をたびたび起こしていたことなどは知っていました。
 そして、今回の展覧会のためのテレビ番組でも予備知識を仕入れて見にいったのでした。

 会場には、そこまでたくさんのカラヴァッジョ作品があったわけではないのですが(もうちょっとあるかと思っていた、、絵のテーマごとに、類似した他の作家の作品の展示も多かったです)、「これがあの『ミケーレ』の作品か」という感じでありました。
 蛇足ですが、わたしは映画「カラヴァッジョ」で、カラヴァッジョが「ミケランジェロ」という名前(ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ)であったのを見ていたので、彫刻家のミケランジェロのことも、カラヴァッジョなのかと思っていたという恥ずかしい過去があります(汗)。
 
 この前見たテレビ番組で、カラヴァッジョは、イタリアで最も愛される芸術家と言われていたことに驚いていました。
 なんとなく、ラファエロとかダ・ヴィンチのほうが人気があるのかと思っていたのです。
 でも、イタリアの人は、とても親しみを込めてカラヴァッジョのことを愛しているようでした。
 絵を見て、その理由は、、、分かったような?
 なんとなく、静かなんだけれど、暖かみもあるような気がしました。包容力があるっていうか?
 わたしには好きな絵でした。

 買ってきた絵はがきの写真を貼ります。

 まず会場一発目がこれなんだもの(笑)↓
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 『女占い師』1957年
 手相を見ながら男の人の指輪を盗もうとしている絵だそうです。わたしはそういうことしませんよ。。。(笑)

 『果物を持つ少年』1593年↓
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 ぶどうが食べられるんじゃないかってくらいぶどうに見えました。

 衝撃はこれ↓
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 『ナルキッソス』1599年
 この絵を、わたしは印刷で何度も見ていたのですが、カラヴァッジョだったんですね。。。
 それは、高校生のときに読んだ、ナルシズムに関する心理学の新書でした。
 
 なぜこんな本を読んだのかというと、その頃、単館ロードショー映画を見始めていて、「モーリス」というジェームス・アイヴォリーのゲイの映画がきれいでハマってしまって、男性同士の同性愛についてちょっと幻想を持ってしまって、興味を持ってしまったからでした。いわゆる、「腐女子」の走りだったのかも(黒歴史?)。映画「カラヴァッジョ」を見たのもその流れです。でも、自分はディープな「腐女子」とまではいかなかったように思います。。
 この本は、そういうわたしを知った友人が「おもしろいよ」と教えてくれて、図書館で借りたのでした。
 その中にこの絵があって、何度もこの絵を見て、なんとなく恐ろしい気分になっていました。
 ナルキッソスはギリシャ神話で有名なお話で、美少年が他人を愛さず、泉に映る自分の姿に恋をして、泉で溺れ死んで、水仙の花になってしまうというお話です。
 この絵は、その狂気のようなものを、すごくよく表しているように思えて、新書の中の白黒写真を「うわー」と思って何度も見ていました。
 自分にも、他人を愛さず自分を優先する面はあり、その本でわたしはそのことを自覚して、自分のこと(人のこと、人間存在のこと)が怖くなったのでした。読んだあとちょっとウツになってしまったくらい、その本に書かれた「ナルシスト、ナルシズム」というものに反応してしまったのでした。
 それから、自分と他者について、過剰に考えるようになってしまって、、、それが占いに引きつけられたり、チャネリングが起こる素地になったのかもしれません。でも、そもそも、そんな本に縁を持つ素地も、元からあったのだと思います。
 その本で見た絵が、突然壁にかけられてあったので、わたしは驚いたのでした。
 なにか「再会」したような気分でありました。
 この絵のことも忘れていました。カラヴァッジョだったんですね。。(本には誰が描いたか書かれてあったと思いますが)
 やはりすごい絵で、わたしの好きな絵でした。

 そして展覧会の目玉↓
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 『法悦のマグダラのマリア」1606年
 2014年に、カラヴァッジョの真筆と結論づけられた絵で、本邦初公開なのだそうでした。
 何百年も経ってから鑑定されるなんて、そんな話ってある? と思ったし、ちょっと官能的なんじゃないのかなと思っていたのですが、、、本物を目の前にしたら、ぞわわわあっと鳥肌が立ちました。
 すごい絵だと思いました。
 官能性なんてありませんでした。
 これは、人にとって、他人に見られたくない瞬間の一つのシーンだと思います。宗教的法悦に入ってしまうこと。それは、あまりにも個人的な、個人の内側の大きなものを動かす体験なのだと思うからです。芯のところで他人とは共有できないことだと思うんです(「神」とは共有できるのかも?)。
 だから、見てはいけないものを見てしまったような、、こんなの描くなんてちょっとすごい。。カラヴァッジョ。

 絵を観るという「体験」の素晴らしさを、味わったように思います。
 大満足でした。

 これはお約束か?↓
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 夫の携帯で撮ったので画質が悪いですが。。。

 ***

 その後、新館の素描展示室でやっている「描かれた夢解釈――醒めて見るゆめ/眠って見るうつつ」がおもしろそうなので、常設展もちょろちょろ見ながら、そちらも見てきました。
 わたし、けっこうこちらの「素描展示室」を見るのが好きなんです。
 小さいエッチングやペン画がかけられています。
 昨日見たものは、夢の世界をどうにか絵にしようとしたものたちで、とても興味深かったです。
 写真を撮ってもいいとのことだったので、ちょっとだけ。
 
 ゴヤの作品↓
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 『「ロス・カプリーチョス」:理性の眠りは怪物を生む』1799年 
 右側の怪物たちが妙にかわいかった。 
 ゴヤの展覧会も見たことがありますが、わたしはこの方のエッチングも好きです。

 レンブラントの作品も↓
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 『書斎の学者(またはファウスト)』1652年頃
 窓と光と人の配置がやはりレンブラントっぽいですかね。エッチングなのに、ちゃんと(笑)。
 「ファウスト」ってよく聞く言葉だけどどういうものか知らなくて、解説を読んで、なんとなく「そうか」と思いました。勉強になったなあ。
 他にもドラクロワや、イギリス人詩人のウィリアム・ブレイク(夫が少し好きらしい)の作品などもあって、見応えありました。

 時間があるなら、やはり常設展やこういうものも見たほうがよいよなと思いました。
 たっぷり楽しめました。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

  
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