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わたしが知りたかったこと 中山茂 / 占星術 その科学史上の位置 感想・1

 ナショナルジオグラフィック社のサイトからの拾いもの↓
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 日食の写真です。

 前に一度書いたことがあると思うのですが、たぶん10年くらい前だと思うのですが、ネットで占いのことを調べていたら、おもしろい記述を見つけました。
 今上天皇が海外に行かれるとき、出発日がいつも西洋占星術で見たときに(陛下にとって)素晴らしいので、きっと大きな移動のときには占星術を参考になさっていると思うという話です。
 細かいことは忘れてしまいましたが、占いをする方のブログの記事だったと思います。 
 それを読んだとき、わたしは占星術について今ほど熱心に取り組んでいなかったので、にわかには信じられませんでした。
 今の時代に、そのようなことがあるのかなあと思いますよね。
 でもその記事の文章にはどこか説得力がありました。書いた方も初めにそのことに気づいたときには偶然かと思ったそうなのですが、その後気になるから調べたら、いつもよい日にちが選ばれているということで、そうとしか思えない、と書かれてありました。
 それにしたって、そんなことってあるのでしょうか。
 昔の王様や貴族たちが、占いを使ってまつりごとをしていたというのはよく聞くことでしたが、今でもそうなのかしら。
 その記事を読んでから、わたしの中にその疑問が具体的に生まれたのだと思います。「今でもそうだったらおもしろいのにな」と想像しておもしろがるレベルを少し、そこで超えたのですね。
 たぶんその前後に、2008年の冥王星山羊座入座とともにカーディナル・クライマックスなどの話が占星術業界で言われはじめ、わたしも「時代の雰囲気と星回りの関係」というものにそれまでよりも興味を持ちはじめました(「時代」というものを「対象化」できるくらいの年齢になってきたのも、その頃なのだと思います)。
 そして、少しずつ星の動きと世の中の動きの連動を見るようになっていきました。
 そうやって見ていると、「ああ、あの陛下の記事はほんとだったのかもしれないな」と思える気がしてくるのでした。
 もちろん、確証はないのですが。
 
 ここのところずっと騒いでおりますように、今、星回りが「すごく活動的(カーディナル・クライマックス的)」な時期ですが、それが顕著になった去年末からの星の動きと世界の動きを見ると、ちょっと出来過ぎかなあという気もします。
 出来過ぎていて気持ち悪いなあとすら思います。
 でも、今回、ある本を読んで、これは出来過ぎなことでもなんでもないのかもしれないと思うようになってきています。

 わたしが読んだのは、中山茂さんの著作「占星術 その科学史上の位置」です。
 豊富な文献から、占星術が人類の歴史の中でどう扱われてきたのかを論じています。
  

 ***

 中山茂さんは1928年生まれで、1951年に東大理学部天文学科を卒業した後アメリカに渡り、1959年にハーバード大学で科学史を専攻し博士号を取ったという、生粋のインテリジェンスです。2014年に亡くなっておられます。
 その方が、科学史の中における占星術の位置を論じたのが、わたしが読んだ本です。
 1964年に出版されたものの文庫版を読みました。

 わたしが知りたかったこと・分からなかったことが書かれてあった本でした。

 この世には、ちゃんと、こういう本があるのだと思えた本でした。

 しかも、著者は日本人ですよ。

 日本人ですが、この方は生粋の学者さんなので、占い(というより、「占い師」)に対しては、非情に厳しい視線を送っていて、著述の中でそのことを隠しません。
 それは、占い師でいようとするわたしには身の縮む思いがするものではありますが、それを感じたとしても、この本を読んでよかったなと思います。
 すごく大げさなことを書きますが、この本があったというだけで、世の中は捨てたもんじゃないのだと感じるくらいです(わたしにとってはそういうものです)。
 この本は、今年の2月に水瓶座とこれからの時代についての記事( こちら )を書くために調べものをしているときに、偶然知りました。
 この本を見つけるまで時間がかかったけれど、今じゃないといけなかったのかなあとも思います。

 ***

 わたしがまず知りたかったことは、主に以下のようなことです。

 ●占星術はいかにして起こったのか?●
  これはやはり、地上に起こる災いと、日食や月食などが関連づけられて考えられたところから天体観測が始まったということであるようです。まずは日食・月食であり、そのうちに、惑星の動きも意識されるようになったとのことです。
 その元にあるのは、観測することから出てくる健全な「経験主義」なのだそうです。
 バビロニアと中国で、それぞれ「占星術」が起こりました。観測するのは、日食・月食、彗星の接近のことで、その観測を重ねて次を予測することが一番初めの「占星術」だったようです。
 文明は大河のほとりで興りましたが、多くの人々が暮らす地域では農業のために大がかりな治水事業が必要になり、それと太陽や月の働きが関連づけて考えられ、その土地を統治する権力者に情報として必要とされるようになったということのようです。
 そのうち、「天」は神が住む場所だから、その天の現象である「天変(日食など)」を、「神のお告げ」と解釈していくことで、君主は政治的決断を下すようになっていったそうです。
 でも、影響力を持ち過ぎた占星術師が、情報のコントロールをすることもあったとか(観測された日食の数と記録の数が異なる。そういう資料がたくさん遺っているそうです)。
 そのうちに占星術師は君主から意志決定のための情報を求められるから、いわば無理矢理に、天体やその運行に既存の哲学思想や宇宙観、世界観を当てはめていき、それが今のような占星術につながるのだそうです。
 バビロニアで生まれた観測結果を元にした経験主義的な「占星術」は、ギリシャに伝わり、ギリシャ人の持つ宇宙論が星を解釈する上で加わっていき(2世紀のプトレマイオスの「テトラビブロス」という本が有名だそう)、占星術の知識は専制政治が弱まって行くとともに西(ヨーロッパ)に広がっていった、ということのようです。
 このあたりのことは、なんとなく想像できることでしたが、きちんと文献を漁った人の文章を読んでスッキリすることができました。
 西洋占星術と、中国の占星術は別々に自然発生したものであるようなのですが、火星の扱いなど似ているところはあるようです(火星はどこで見ても赤いから戦争をイメージさせる星になるのかな?)。
 わたしは中国の占星術については全然頭に入らないので(四柱推命など何度か勉強を試みたのですがダメ)、ちょっと納得です。考え方の根本が、西洋占星術と中国の占星術は違うものなのだと思います。
 同根じゃないとハッキリ書かれていたので、スッキリしました。
 西洋でも中国でも、人々は占いをする目的もあって、暦を創れるようになっていったそうですが、占いに使うというのはあくまでも二次的なもので、天体観測すること自体には、元には純粋な科学的な態度があったはずだ、と、中山先生は繰り返しておられます(それが勝手な解釈が付されていって「ドグマ化」した、と苦々しそうでもあります)。


 ●日本における占星術の歴史はどうだった?●
  日本にも大陸文化とともに占星術が入ってきますが、天武天皇は大変な占星術ファンだったとのこと。日本で初めての天文台ができたのも天武天皇の治世の675年のことだったそうです。おそくとも6世紀には朝鮮からの朝貢の中に占星術の本が入っていたそうです。それは中国式の太陰暦を使う占星術のことのようです。
 当時の日本は中国の文化や制度をまねるので、占星術師が政治の中で役職を得ている部分も踏襲し、それで日本での陰陽師とそれをまとめる役所である陰陽寮が作られたそうです。
 わたしは日本の陰陽師や陰陽道のこともよく知らないので、これらのことが分かってよかったです。
 陰陽道で使われる占星術は中国式のものだったようですが、なんとそのうちに、仏教とともに西洋占星術が日本に入ってきたのだそうです(!)。
 ギリシャで花開いた西洋占星術の考え方はインドにも伝わり、「宿曜占星術」となったそうで、それが8世紀に中国語に翻訳され「宿曜経」などとして中国からもたらされたので、日本で西洋式の占星術に初めに触れたのは、仏教者たちだったそうです(笑、すみません、、なんか笑えてしまった)。西洋占星術をする人のことを「宿曜師(宿曜法師)」と呼んだのだとか。
 そして、「藤原時代に僧と貴族の接近が強まる中で、貴族階級が宿曜道ホロスコープを作らせたことは想像にかたくない」とのことで、当時(1112年)作られた宿曜道のホロスコープの図版も出ていました(そんなものが遺っているとは!)。

 写真に撮っちゃった↓
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 これ、ハウスの意味など、今でも使用されるものを使っているので(5室が「男女位」、10室が「官禄位」、12室が「禍害位」などなど!)、ちゃんとホロスコープになっているなあと感心してしまいます。1112年ですよ! 南都焼き討ちの前だね!!(笑)
 その後の時代にも、戦国武将も占星術を使っていたとか、いろいろな話があるようです。
 江戸時代以降は徳川幕府が儒学を重視し、占星術は批判されるようになったそうです。時代が安定したため、切実に占いを必要としなくなったということもあるようです。
 明治時代になって、カレンダーを太陽暦に変えるときに、陰陽道を家学として守ってきた土御門家の力が奪われたとのことでした。
 それと、中国にもインドから西洋占星術の考え方が入ったのですが、すでに中国には九星占術などがあり、根を下ろすことはなかったそうです(西洋占星術は密教儀式の一端としてもたらされたのだとか)。
 そしてこの本は、西洋の占星術と中国や日本の占星術について比較して述べられたオリジナルなものなので、中国語や朝鮮語にも訳されたのだそうです(すごい! なんか嬉しい!)。

 *** 

 と、これらがわたしがこの本を読んで知りたかった、占星術に関する歴史的な「情報」です。
 子供の頃に西洋占星術に興味を持ってからもう35年くらいになりますが、その間、ずっとハッキリしなかった部分がハッキリしたように思います。
 それは、「この本にこういうことが書いてあったらいいな」と期待していた部分であり、しかも期待していた以上にわたしが知りたかったことが「かゆいところに手が届く」レベルで書いてあったので、「うわー! うわー!」と声を上げながらページをめくったものでした(求めていたものがきちんとこの世にはあると分かった歓びよ!!!)。
 一気に読むのがもったいないと思えるほどでした。
 とくに、それまでよく知らなかった日本における占いの歴史のことが分かったのはとても嬉しかったです。
 ネットで調べるだけでは簡単には分からないことが、たくさん書かれてありました(紙の本ってやっぱりすごいなとも思いました)。

 ですがもちろん、この本は、それをわたしに教えてくれただけではないんです。
 期待以上の期待以上、予想のはるか上(斜め上とは言わない、ほんとに「上」)です。
 そのことも書きたいのですが、すでに長くなっているので、ここでいったん記事を更新しますね。


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テーマ : 占星学 - ジャンル : 学問・文化・芸術